一般社団法人日本公衆衛生看護学会

理事長挨拶(2015年度)

 日本公衆衛生看護学会は、国民の健康の保持増進に寄与することを目的に、その活動の担い手である保健師の活動を充実発展させ、活動の基盤となる公衆衛生看護を学問として構築することを目指して、2012(平成24)年に設立されました。学会は、保健師および関係者の皆様の熱い思いに支えられ、会員数1400名を超える学会に成長しました。創設期である第1期は公衆衛生看護および保健師の定義を提示し、学会の体制づくりを行ってきました。
 2015年1月の総会で一般社団法人化に向けて定款が承認され、4月に一般社団法人の登記手続きが完了し、「一般社団法人日本公衆衛生看護学会」となりました。学会は任意団体から法人格を持った団体となり、社会的な信用を得ながら、責任を果たす存在として発展の途上にあります。
 少子高齢化が超高速で進展し、一方ではグローバル化の急速な展開により社会格差が拡大し、国民の健康や生活の格差も拡大しています。虐待や孤独死など複雑で解決が困難な健康課題が増加しています。相次ぐ大震災をはじめとする自然災害、人為的災害への危機管理、被災後の支援活動も大きな課題です。産業保健においては、メンタルヘルスの課題が深刻化しています。健康問題だけではなく、公衆衛生看護の活動はすべての人々が健康で安全な生活を送るために、健やかな子どもの成長発達から始まり、生活習慣病の予防、豊かな高齢期の生活へと健康の保持増進および予防が重要です。
 公衆衛生看護は社会を見つめ、地域の人々の組織的な力と協働し、健康をまもるための社会のシステムを構築し、そのシステムを円滑に運用できるように調整することを行ってきました。緊縮財政下で、国民の健康を守るためには、活動の成果を明確化し、より効率的効果的な活動が求められています。
 実践と理論の結合が効果的な実践となり、それらの実践の交流がそれぞれの地域にフィットした実践を可能にします。充実した保健師の基礎教育とそれに連続した現任教育体制の構築体制の整備を実践者と教育研究者の協同で推進し、また、実践を支える研究を現場と研究機関の協働で行えるよう、学会としてサポートをしていきたいと思います。
 公衆衛生看護の実践、教育、研究の場で働く保健師、公衆衛生看護に興味と関心のあるすべての人々により、公衆衛生看護の発展と誰もが暮らしやすい社会の創造を目指しましょう。
 本学会の理事長として、理事、監事、社員、会員の皆様とともに学会の発展に努めてまいります。

2015年4月
一般社団法人日本公衆衛生看護学会
理事長  佐伯 和子

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