世界看護師協会大会(International Council of Nurses Congress)2023 参加報告
世界看護師協会大会(International Council of Nurses Congress)2023 参加報告
東京大学大学院医学系研究科 国際地域保健学教室
客員研究員 虎頭 恭子(ことう きょうこ)
2023年7月1日から5日に、世界看護師協会(International Council of Nurses: ICN)大会2023がカナダ、モントリオールにあるMontreal Convention Centerで開催されました。
ICNは、国際的な保健医療専門職団体として、1899年に世界で初めて設立された最大の組織であり、各国の看護師協会138協会が加盟しており、日本看護協会も積極的に参加しています。
今年のテーマは、”Nurses together: a force for global health”であり、世界から約6000人以上の看護師が参加しました。特に、新型コロナ感染症への対応で直面した看護人材の権利の確保が中心的なテーマであり、安全な職場環境・業務範囲の拡大・適正な報酬について、各国の状況が共有され、改善への様々なディスカッションが行われました。さらに、疲弊した看護人材の流出により、地域間移動が再活発化することで、各国間の看護人材の差の拡大が生じる「看護人材の移動」に関する話し合いも多々行われました。
また、ウクライナ・スーダン・ミャンマーといった戦争・内紛下にありながら日々看護サービスに向き合う看護師および災害への対応を行なった看護師への賞賛が行われ、トルコ地震への強力な支援を行なった日本への謝辞が述べられていました。
世界看護師協会大会は、自分が所属している看護師協会のナショナリティを強く意識する大会ですが、その一方で新型コロナ感染症という、グローバルな健康課題にそれぞれの臨床・教育・行政の現場で取り組んだ看護師が共通して、安心して安全な環境で看護サービスを提供できることを強く望んでいることが、とても印象的な大会でした。