APHA2016参加報告
The American Public Health Association’s 2016 Annual Meeting (APHA 2016) 参加報告
角川由香、永田智子
(東京大学大学院医学系研究科地域看護学分野)
2016年10月29日-11月2日に、APHA2016がアメリカ、コロラド州デンバーにあるColorado Convention Centerで開催されました。
The American Public Health Associationは1872年に設立された学会で、144年もの歴史を有しています。健康は基本的な権利であるとの考えのもと、予防可能な疾病や健康を脅かすような事象から、すべての国民、そしてコミュニティーを守り、彼らの健康状態を維持・改善することを目的としています。公衆衛生関係の学会では世界でも最も古く、かつ規模の大きい学会の一つであると言えます。
学会にはアメリカ全土のみならず、世界各国から大勢の研究者、そしてPublic health nurseをはじめとする多くの実践家が日頃の研究・実践の成果を発表していました。今回のメインテーマは”Ensuring the right to health(健康の権利を保障する)”で、Planned parenthood協会の理事長Cecile Richardsさんらの総会特別講演からスタートしました。講演には政策に対するメッセージも多く盛り込まれ、参加者の反応も熱く、APHA参加者の公衆衛生に関する期待と情熱を感じました。
また、多くのセッションが毎日設けられ、演題数は5000以上にのぼっていました。中でも、気候変動が健康に与える影響、オバマケアの評価、食事などの健康行動に対する介入研究などが目につきました。
報告者は今回、ポスターセッションで発表の機会を得ました。アメリカの保健師や若手の研究者・大学院生などから、日本の地域看護活動について質問を受けたり情報交換をしたりと、とても有意義な時間を過ごすことができました。
また、Public health nurseの昼食会では、実践や研究で成果を上げた方々の功績が紹介され、表彰が行われていました。モチベーションを高めるのにとてもよい機会だと思いました。
APHA Public Health Expoという展示会場には、数え切れないほど多くのブース(全部見て回るとしたら2日かかりそうです)が開設され、そこでは公衆衛生関係の情報や、大学・研究機関などの最新情報が提供されていました。
その他、人々の健康の維持・向上を願う公衆衛生学会らしく、ヨガやお散歩、エアロビクスなどもオフミーティングの時間などに設定されていたほか、健康の社会的決定要因で有名なSir Michael Marmot教授の自書へのサイン会なども催され、学会の時間以外もおおいに楽しめる内容盛りだくさんの時間でした。
2017年は” Climate changes health”をメインテーマに掲げ、11月4日-8日にジョージア州アトランタで開催予定です。
<総会会場の様子>
<展示会場の様子。ハロウィンだったので耳をつけているブース担当者も>