一般社団法人日本公衆衛生看護学会

第12回 保健師のためのCOVID-19お役立ち情報~現場の保健所保健師が活用している情報を共有します~

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが続いています。それとあわせて、新型コロナウイルス感染症に関する様々な情報が発信されており、情報リテラシーが求められます。厚生労働省や国立感染症研究所ホームページなど確かな情報ソースから常に最新の情報を得るようにすることが、保健活動のために必須です。
 今回は、新型コロナウイルス感染症の対策のために、主に保健所保健師が活用している情報を共有いたします。日々の保健活動にお役立てください。

 保健所では陽性者の届出があったら、どんなマニュアルをもとに調査をしているの?
 基本は、国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」(令和3年1月8日版)です。
 この中に、感染可能期間の定義や 濃厚接触者の定義が記載されています。新しい知見に応じて対応も変更されますので、常に新しい情報を入れておくことが必要です。
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/COVID19-02-210108.pdf
また、あわせて『保健師のための積極的疫学調査ガイド [新型コロナウイルス感染症] 患者クラスター(集団)の迅速な検出に向けて』 第2版 [2020年 12 月 24 日]を参考にしています。事業所や施設の場合は初動が肝心ですので、クラスター検出の意義、実施時のポイントを知り、発生時は慌てずに基本を押さえながら対応することが大事です。
http://www.zenhokyo.jp/others/doc/20201225-covid-02.pdf
 濃厚接触者はどうやって判断しているの?感染リスクの見極め方は?
 環境感染学会「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第3版)」(2020年5月7日)に掲載されている、医療従事者の曝露のリスク評価と対応の表を参考に、感染リスクと濃厚接触者の判断につなげています。
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328
 TV等で消毒薬噴霧シーンを見た人からよく問い合わせが入るけど、消毒についてのエビデンスはどの資料を使っているの?
 経済産業省ホームページに、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法に関する情報がまとめられています。
 ポスターもありますので、ご活用ください!
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626013/20200626013.html
 就業者の新型コロナ対策についてのマニュアルはどれが参考になる?
 日本産業衛生学会の「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド第4版(2020年12月15日)」があります。
https://www.sanei.or.jp/?mode=view&cid=416
 また、日本渡航医学学会ホームページには、ビジネス渡航者向けの検査や証明書の発行に関する情報が掲載されています。
https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html
 学校の新型コロナ対策についてのマニュアルはどれが参考になる?
 文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~(2020.12.3Ver5)」に、集団感染リスクへの対応として換気の方法や身体的の距離の確保など具体的に記載されています。また活動場面ごとの感染症予防策、臨時休業の判断等についても記載されています。
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00029.html
 新型コロナウイルス感染症の検査については次々と新しい方法が出てくるけど、何を参考に考えたらよい?
 かなり速いペースで次々と新しい検査方法が提示されてきます。常に新しい情報を入れていく必要があります。また、無症状の方には対応できない検査もありますので注意が必要です。
 厚生労働省他「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3版)」(2021年1月22日発行)に各種検査方法の意義や検体の種類、状況に応じた適切な検査に関する情報が掲載されています。    
https://www.mhlw.go.jp/content/000696202.pdf
 新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子や重症度分類、症例定義など何を参考にしたらよい?
 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き(第4版)」(2020年12月14日発行)に重症化リスク因子や合併症、重症度分類、症例定義、院内感染対策等が記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000702064.pdf
 病院職員や入院患者さんに陽性者が発生した際、保健所は初動としてどんなことをしているの?
 陽性者本人の行動や接触状況の調査(積極的疫学調査)の際に、感染可能な時期に病院内で接触した人がいることが判明した場合は、初動として病院現地調査を実施します。
 参考として、国立感染症研究所発行の「新型コロナウイルス感染症(covid-19)医療施設内発生対応チェックリスト(2020年7月8日)」があります。医療機関の何を確認したらよいか、様々なリストやチャートの作成例も記載されており、得た情報の整理方法もわかります。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9735-covid19-21.html
 また、施設調査は迅速に行い、二次感染を防ぐために感染リスクの視点でのゾーニングと動線の確保、職員の防護のあり方を施設とよく話し合って進める必要があります。初動では、看護やケアに関わる方達の感染予防指導、人員の確保、PCR検査等の計画など、対応が多岐にわたります。その際に参考となる書籍として、「大阪市立十三病院がつくった 新型コロナウイルス感染症 もっと対応BOOK~重症化を防ぐアセスメントと治療・ケア~」と「新型コロナウイルス感染症[COVID-19]対応ブック」(いずれも照林社刊)をご紹介します。現場の写真や図が多く使われており、集団発生があった場合に、地域として、陽性になった方と同時に施設とその中で懸命に闘っている人をどう支えていくべきか考えさせられます。
 病院や施設において、陽性者が発生しない平時の感染対策のチェックリストにはどんなものがあるの
 日本環境感染学会の「新型コロナウイルス感染症の院内・施設内感染対策チェックリスト(2020,7)」(Excelデータ)が参考になります。流行時対策、感染疑い者発生時、感染発生時の対応に項目分けされ、簡潔に記載されているので使いやすいと思います。
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=364
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