一般社団法人日本公衆衛生看護学会

第17回 みんなでチャレンジ!日々の実践を「活動報告」にして学会誌に投稿しよう

「学会誌への投稿は難しい」「論文は私には縁遠い話」と思われている方がいらっしゃるのではないでしょうか。日本公衆衛生看護学会誌は、投稿規程を改定し「活動報告」を投稿しやすくしました。(編集委員会)

究極の質問です。実践を論文にまとめ、投稿する意味は何ですか?
皆様の日頃の活動には、公衆衛生看護の知識、技術、経験がたくさん詰まっており、その内容は大変貴重なものです。
実践を「活動報告」として論文にまとめ、学会誌に掲載されれば、公衆衛生看護に携わる多くの方々に役立ちます。そして、各地域の人たちの健康に貢献することにもなります。
皆様の活動が、時間や場所を超えて伝えられ、活用され、まさに公衆衛生看護の礎となります。
説明を聞いて、逆に、気が引けてきたのですが…。
気が引けることはありませんよ。
皆様はケア、支援、事業等の際、記録や報告書を作成されますよね?
それを論文の原稿の構成に合わせて記載していけば、まずは第1段階クリアです。
投稿規程(https://japhn.jp/journal)「4.投稿原稿の構成」に詳しく記載されていますので、ご参照ください。
ちょっとずつ自信とやる気が出てきたぞぉ。
具体的に活動報告のことについて教えてもらえますか?
活動報告の論文の展開は、皆様が活動で行っているPDCAと似ています。
論文の最初は「はじめに」です。活動報告の目的と意義、活動の背景を書きます。
次に、検討の方法や、報告や検討に用いた資料・データを「方法」として記載します。
次に記載するのが「活動内容」です。ここが重要なポイントの一つです。活動の目的、活動の特徴、活動のプロセスや結果などを書きますが、読者に活動が伝わるよう意識しながら記載すると良いと思います。
最後は「考察」です。考察も大切です。活動内容と結果の検討、活動を通じて得られた知見等をまとめていくことになります。他地域や組織・集団などの実践への適用等も記載すると、読者が活用しやすくなります。
論文は難しいチャレンジだと思っていたけど、日々の活動の延長線上にあるのですね。そう思うと私にもできるように思えてきました。
誰でもチャレンジできますよ。
論文の形にまとめ、考察まで書きあげたときには、取り組んできた活動の意義を再認識することができます。
書き上げるまで少々時間はかかるかもしれませんが、得るものは大きいです!仲間とみんなで考えながら、書き上げていくのもお勧めです。
投稿後、査読コメントなるものが届き、そのコメントに対応しながら修正するのが大変だと噂で聞きました…。
査読はピアレビューともいわれ、論文が「活動報告」としてより良いものになるよう、編集委員会、担当編集委員、査読委員が、査読をとおして皆様の投稿をサポートしています。この査読プロセスがあるからこそ、学会誌に掲載される論文はいずれも良質です。公衆衛生看護の仲間がサポートしてくれていると思うと、査読コメントが届いても明るい兆しが見えてきますよ。
最後の質問です。活動報告を投稿するにあたり、ポイントがあれば教えてください。
実践の計画段階から、活動報告として投稿することを念頭に入れ準備をされると良いと思います。事前に投稿規程(https://japhn.jp/journal)に目を通しておくと、記載すべき内容がわかり、活動中に収集するデータや記録として残す内容が明確になります。
最後に、私の経験をお話します。
私も活動報告として論文を投稿し、掲載が決まりました。論文投稿は自分たちの活動の目的、内容、意義を記述し明文化していく作業です。少々大変な時もありましたが、そのときは職場の同僚や上司、近隣の大学の先生に助けてもらいました。
今は論文投稿にチャレンジして良かったと思っています。
私は、論文投稿を通して活動を客観的に評価する力が養われました。そして、保健師の実践能力が向上したことも実感しています。
自慢話に聞こえていたらごめんなさい(笑)。とても良い経験でしたので皆さんにお伝えしたかったのです。
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