一般社団法人日本公衆衛生看護学会

第18回 コロナ禍でも様々な工夫で保健師教育は進化しています!

新型コロナウイルス感染症の国内感染から2年以上が経過し、大学に通えない学生の記事を目にすることがあります。保健師教育機関では、どのような保健師教育が行われていたのでしょうか?(教育委員会)

コロナ禍で対面の講義が難しい中、どのように対応していたのでしょうか?
オンラインを活用して講義を行いました。これまでの教育の質を落とさないように、新たな教材の開発や演習を取り入れるなど、様々な工夫を凝らしました。
オンライン講義とはどのようなものですか?
主にライブ配信と、オンデマンド配信に分けられます。
●ライブ配信
ZoomやMicrosoft Teamsなどのツールを使って、ネット回線等でリアルタイムに授業を配信する形式です。
メリットは、双方向にコミュニケーションがとれるため、比較的普段の授業に近いスタイルでオンライン授業を行えることです。
デメリットには、通信環境によってスムーズに授業を進行できなかったり、授業を受ける時間帯が限られる等があります。
●オンデマンド配信
録画した映像をインターネットで配信する形式です。
メリットは、生徒が自分のペースで好きな時間に、繰り返し視聴して学習できることです。
デメリットには、双方向のコミュニケーションができないため、直ぐに疑問点が解消できない等があります。
オンライン講義を実施して教員はどう思いましたか?
学生からは教室で遠目に見るよりも教材が見やすい、集中しやすい、またオンデマンドでは繰り返し見て学べるとの声もあり、学習効果が高まった科目もありました。グループワークでは、思ったより個々の学生に向き合うことができました。
一方で、学生とちょっとした雑談を交わすことや、個々の態度を捉えることが難しいため、細やかな対応が難しい点もありました。
保健師課程の臨地実習では、どのような配慮をしていましたか?
学生の感染予防として、ワクチン接種の勧奨、実習期間には、体温測定や健康チェックリストの提出、抗体検査の実施などを行っていました。ある大学では、臨地実習2週間前から感染リスクの高い外食などを行わないよう指導したり、指導教員をグループで専任にするなどの工夫をされていたところもありました。
感染が流行していた時期は、十分な臨地実習が行えなかったのではないですか?
ある自治体では、積極的疫学調査や健康観察など、コロナ対応を経験させていただきました。また、ある大学では、計画していた住民の声を聴く場が設定できなかったため、保健師へのインタビューに切り替えたところ、保健師の介入意図などが良く理解できたと好評だったようです。教員側からも、オンラインでの実習カンファレンスは移動時間が不要となるため、複数の実習カンファレンスに出席し、直接指導できたなどのメリットも報告されています。
これからの保健師教育はどうなっていくのでしょうか?
コロナ禍であっても、創意工夫で様々な学習形態が可能であることがわかりました。各教育 機関や各自治体で行われている事例の集積や横展開が図れるよう、情報共有の場が必要です。オンラインは距離を越えた講義の提供が可能になることから、その活用によって、今後は国際的な交流や他機関 との連携が広がることも期待できます。
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